自宅に戻ってから元気だった日々
母は最初は術後である事もあり、家で寝ている事も多かったのですが徐々に元気になり、子猫を可愛がったり、私と食事を楽しんだりするようになるまでに回復していました。
ただ胃を切除していましたので、だいぶ食べられる量は減っていたように思います。
そんな中母と食べたチキンライスを思いだす今日この頃です。
母にはすい臓がんの余命については話していませんでした。
ですが、父は母のためにガンに良いとされた民間療法を色々調べては試していたようです。
自宅の冷蔵庫には青汁がいつも冷凍されていました。
藁にもすがる気持ちでいたのが今ではわかります。
再発
ある日母が「なんだか背中が痛いようだ」とまた言い始めました。
私は「まさか」と思いました。
再度母は受診することとなりました。
そこで下されたのは「再発」と言う言葉でした。
退院してから1年経っていたでしょうか。
痛みを止めるための薬(モルヒネ?)を常時体に入れるために、なにやら点滴のようなものを体にいつもつけている事となりました。
自宅にいられるように、体に小さな入れ物から点滴のように薬が入る管と針が常時付けることとなりました。
これにより、母は入院せず家にいる事がしばらく出来ました。
モルヒネはどこででも処方してもらえる薬ではありません。
とはいえ、手術をした病院まで行く事は遠かったため彩の国クリニックにて処方箋を書いてもらい、モルヒネが出せる限られた薬局にて金庫のような場所から薬を出して貰っていました。
このような状況でも自宅で居られる事は母にとって嬉しかったのです。
また入院
しばらくして、やはり自宅ではどうにもならなくなって来てしまい入院する事になってしまいました。
母は埼玉中央病院の個室に入院しました。
当時父の仕事場が目の前にあり、父は毎日通っていました。
私は妊娠中だったので、時間がありよく病院に行きました。
入院はしていましたが、意識もしっかりしていましたし調子が良ければ外出も可能でした。
時には母と所沢の西武に洋服を買いに行きました。
コムサデモードで秋のニットとワンピースを購入しました。
母はすっかり痩せていたのでワンピースのサイズ直しをしてもらいました。
帰りの車の中で「このワンピースを来て出かけられる時はくるかしら・・・」と言った時私は「大丈夫だよ。早く元気になろうね」と答えました。
母はきっと不安でいっぱいだったのでしょうね。
治療中の失敗に怒る母
ある時、点滴?の管をいれる場所だったか何だったか忘れてしまったのですが、場所が悪く肺に穴を開けてしまわれて気胸になってしまいました。
そのため母はとても苦しそうでした。
母はとても怒っていました。
当たり前ですよね、ごめんなさいで済ますしかないけれど正直「冗談じゃない!」と言いたかったです。
周りの方の優しさに感謝
母はとてもお洒落な女性でした。
入院中も眉をいつも綺麗に整えていましたし、爪もネイルはしていませんでしたが綺麗に磨いていました。
父を愛していましたので、綺麗でいたかったと思います。
お見舞いに来て下さる友人にもボロボロの姿を見せたくなかったのだと思います。
そんな母の悩みは髪の毛でした。
抗がん剤は打っていませんでしたので、抜け毛はさほどありませんでしたが、痛みなどがあるため美容院に出かけたり出来なくなっていました。
そんなある日、いつも通っていた美容院の方がお見舞いに来て下さり母の願いを叶えたいと店長さんに相談して下さったのです。
お店の決まりでお金を貰って出張カットなどは出来ないとの事で、なんと無償で母の髪の毛をカットして下さったのです。
個室だったので出来たのですが、本当にありがたかったです。
今は大きな病院などでは美容室があるようですが、当時はそのようなサービスはなかったのです。
また母はとてもお花が好きでした。
そんな母のために、母の親友の娘さんはお花屋さんで働いていたので忙しい合間を縫ってお見舞いに来てくれ、ブーケの練習をしたよと持って来てくれたりしていました。
母の病室にはいつも可愛いお花が飾ってありました。
母は既に余命宣告を(本人にはまだされていない)過ぎていましたが、元気にしており奇跡がおきるのではと私は思っていました。
次の春に産まれる私の長女のために一緒にドレスを買ってくれました。
出産の時には一時退院の予定もしていたくらい元気を取り戻しつつあるように見えました。
最後の花見
最後になるとは思わず、母と車で買いものに外出許可をもらい出かけた際の事。
所沢のちょっと入った道では桜が満開でした。
それを眺めながら母は「来年もこの桜を見られるだろうか」とつぶやきました。
私は「必ず見られるよ」と答える事が精いっぱいでした。
最後まで書き終わろうと思いましたが、桜が開花した今日ちょっと胸がいっぱいで苦しいです。
父の言葉「ガンはバカだな。。。体の細胞なのに。最後は自分も殺してしまうのに。ガンはバカだな。。。」
また後日あらためてその後を書きたいと思います。
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